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春の風 ~初恋~

春の風 ?初恋?
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ゲームタイトル:
春の風 ~初恋~
制作サイト様:
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『大輔っ、いつまで寝てるの。
汽車に乗り遅れるよ』
階段下から母がなかば切れ気味に叫ぶ。
『まったく、もう少し余裕持って
起きられないの?』母の小言を聞きながら
朝ごはんもそこそこに家を飛び出す
いつもこんな調子でボクの朝が始まる。
高校のあるN市までは"どんこう"と言われる
各駅停車の汽車を使って30分くらいの
距離だがボクの乗る7時15分の汽車では
それが50分もかかる
なぜかというと、途中の無人駅で
20分間急行列車が通り過ぎるのを
待たなければならないからだ
これより前の汽車では早すぎるし
これより後のでは完全に遅刻になってしまう
だからこのあたりの汽車通の生徒は皆
このどんこうに乗るしかないのだ。
ボクの地元の駅から乗るのは
殆どが同じ高校に通う男子生徒だったが
2つ目の駅からはN女子高の
生徒も何人か乗ってくる
その中に ひと際色の白い彼女がいた
汽車の中では友達と
くだらない話ばかりしていたボクだが
彼女がのってからN市につくまでは
本を読むふりをして彼女を見ていた
彼女の周りにはいつも
やわらかい風が流れている
ボクにはそんなふうに見えたんだ
そして、ボクはそのやわらかい
風を感じられるこの時間が好きだった
高3のある日、朝から少し調子の悪かった
ボクは汽車に酔ってしまい急行待ちの20分間
外の空気を吸う為一度汽車を降りた。
ホームのベンチに座り深呼吸をする
外はひんやりとした秋風がふいている
というのに額には脂汗がでている
こんな所、彼女に見られたくないな・・・
そう思い本で顔を隠したその時、
『大丈夫ですか?
よかったらこれ、使ってください』
ボクの目の前に淡いピンクのハンカチを
差し出す彼女が・・・・
びっくりして立ち上がった時、発車のベルがなった
あわてて汽車に戻る彼女
ボクは、恥ずかしいやら情けないやらで
同じ車両に乗ることができずそのままN市まで
彼女に見つからないよう別の車両で身を隠すしかなかった
あの日から何度もハンカチを
返そうと試みた
だけど あの時の無様な自分の姿を
思い出してしまい声をかけられずにいた
そしてそのまま冬休みになり
殆ど投稿日のない高3の3学期も終わり
とうとう卒業式を迎えてしまった
今日は逃したら もう彼女には
会えないかもしれない・・・・
恥ずかしいなんて言っていられない
今日こそハンカチを返さなければ
そして、ハンカチを鞄の中にいれようと
机の引き出しをあけた
あれ?、机の中にいれていたはずの
ハンカチがない
急いで探さなければ 汽車に間に合わなくなるぞ・・・・
タイトル:春の風 ~初恋~

 

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